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田中一村というオトコ。

鹿児島と沖縄の間にドッカリ腰を落とし、アマミノクロウサギやルリカケス等、多くの天然記念物を保有する奄美大島。
奄美大島はどことなく僕の生まれ故郷・西表島と重なる。
  年中絶え間無く降り注ぐ南国特有のスコールが幾層にも折り畳まれた腐葉土にじんわり染み入ると、そこからヒカゲヘゴがニョキニョキ頭を出して、まるで、ジュラ紀の世界に迷い込んだのでは…と錯覚するような大自然。
  
ガジュマル、アダン、ビロウ、ソテツが生え、サトウキビ、びわ、タンカン、バナナ、パパイヤ、マンゴー、パイナップル、パッションフルーツが育つ桃源郷の島。

  
そんな奄美大島で生涯を閉じた一人の画家がいる。その名を田中一村。

誰に見てもらうわけでもなく、ただただ愚直に絵と、そして奄美の自然に向き合った天涯孤独の画家。

僕の好きなアーティストの一人。
  
誰にでも好きなアーティストが居ると思う。僕が最初に好きになったのはリキテンシュタインやウォーホル、バスキアといった所謂ポップアートの類。

それはポップなカラーリングに分かりやすい線、モチーフ…

深く考えずとも、単純に〝面白い〟と感じるモノ。

そして、次に好きになったものはポロックやカンディンスキーといった抽象画家だった。
田中一村はそのどちらにも当てはまらない、特異な画家。だからこそ、初めて見た時はとても衝撃的だった。

高校2年生の時、たまたま深夜にNHKでやっていた田中一村の特集番組…。見入ってしまった。 


   

幼少期から神童と呼ばれながら、病で東京美術学校(現 東京芸術大学)を中退してからは、自らの“描きたい絵”に専念するも、日展をはじめとした日本芸術界、パトロンから支持されることはとうとうなく、50歳にして中央画壇から決別•••単身奄美大島に渡った。

奄美の自然を愛し、その植物や鳥を鋭い観察と画力で力強くも繊細な花鳥画…。
圧巻の一言!!

  

でも、一村は個展もせず、描いた絵を大々的に発表しなかった。

絵の具、キャンバス、筆…絵を描くためだけに大島紬の染色工で生計を立て1日1日を絵に生きた一村。

詩人 山之口貘にも共通する貪欲なまでのクリエイティビティ。貧乏がなんだ、それでも俺は作品を創り続ける…誰かの目に触れなくとも。

誰にも真似出来ない芸当。

僕も同じ絵描きの端っくれとして、見習わなきゃいけない部分もある。

  
さて、台風15号…!

ただいま、気圧を低く留めて、沖縄本島を舐めながら奄美大島に接近中…一村の過ごしたあの家屋は飛ばされないだろうか。

  

近くにひっそり生える芭蕉は、そして、ガジュマルの一本木は折れることなく、そのままで有って欲しい。
生前の一村の折れない心のように、誰に触られなくとも、自分の根っこを信じて、台風が去った後も何事もなかったかのように、やっぱりひっそりとただただそこに変わりない姿で有って欲しい。 

 
そう思う。
  

 

  

“LIFE OF MR.DONK”

©Danson Picture Books/Take it easy pub.

Contact: smile.mrdonk@gmail.com 

 

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